古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 4030番

うぐひすは 今は鳴かむと

大伴家持(おおとものやかもち)

天平20年春、大伴家持が鶯の鳴くのが遅いのを恨んで詠んだ歌。鶯は今こそ鳴くだろうとひたすら待っていると、霞がたなびいて月日は過ぎていくという歌。

霞のたなびく春の野で、まだ鳴かない鶯を待つ男

題詞鶯の晩く哢くを怨むる歌一首

  1. 1うぐひすうぐひすうぐいすははは宇具比須波
  2. 2今いま今いまいまははは鳴な鳴ななかかかむむんととと伊麻波奈可牟等
  3. 3片かた片かたかた待ま待ままてててばばば可多麻底波
  4. 4霞かすみ霞かすみかすみたなびきたなびきたなびき可須美多奈妣吉
  5. 5月つき月つきつきははは經へ經へへにににつつつつつつ都奇波倍爾都追

引用の仕方

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現代語訳

鶯は今こそ鳴くだろうとひたすら待っていると、霞がたなびいて、月日は過ぎていく。

意訳

都よりも春の遅い越中で、鶯の初音を待ちわびる心を詠んだ歌である。霞がたなびくほど春は進んでいるのに、鶯はまだ鳴かないと、季節のずれを恨む。

語釈・文法注

文法・本文

片待てば
「かたまてば」。ひたすら待っていると。
經につつ
過ぎていきながら。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・4030番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平20年春、越中守大伴家持が、鶯の鳴くのが遅いのを恨んで詠んだ歌。

修辞

対照
進む季節(霞・月日)と、鳴かない鶯とを対照させる。

解説

前年の「立夏四月…霍公鳥の喧くを聞かず」(3983番)と同じく、都と越中の季節の違いを詠む。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、638頁(コマ112)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、751頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日