古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 4028番

妹に逢はず 久しくなりぬ

大伴家持(おおとものやかもち)

天平20年春、大伴家持が能登の鳳至郡で饒石川を渡ったときに詠んだ歌。妻に逢わずに久しくなった、饒石川の清らかな瀬ごとに水占をしてみようという歌。

饒石川の清らかな瀬で、水に手を浸して占いをする旅人

題詞鳳至郡にて饒石河を渡りし時作れる歌一首

  1. 1妹いも妹いもいもににに逢あ逢ああははわずずず伊毛爾安波受
  2. 2久ひさ久ひさひさしくしくしくなりなりなりぬぬぬ比左思久奈里奴
  3. 3饒石にぎし饒石にぎしにぎし河がは河がはがわ爾藝之河波
  4. 4淸きよ淸きよきよききき瀨せ瀨せせごとごとごとににに伎欲吉瀨其登爾
  5. 5水占みなうら水占みなうらみなうらはへはへはえてててななな美奈宇良波倍底奈

引用の仕方

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現代語訳

妻に逢わずに久しくなった。饒石川の清らかな瀬ごとに、水占をしてみよう。

意訳

巡行の旅が長引き、奈良の妻に逢えない日々が続いた家持が、清らかな饒石川の瀬ごとに水占をして、妻の様子や再会の時を占おうと詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

饒石河
「にぎしがは」。今の輪島市の仁岸川。
水占
「みなうら」。川の水で行う占い。
はへてな
「はへ」は占いをする意か。してみよう。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・4028番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平20年春、越中守大伴家持が出挙のために越中の諸郡を巡行したときの歌の一つ(4021〜4029番)。

修辞

願望
「てな」で、水占をしようという意志を表す。

解説

水占の具体的な方法は明らかでない。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、638頁(コマ112)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、750頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日