古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 4023番

婦負河の 早き瀬ごとに

大伴家持(おおとものやかもち)

天平20年春、大伴家持が婦負郡で鵜飼をする人々を見て詠んだ歌。婦負川の早瀬ごとに篝火をともして、多くの男たちが鵜飼をしていたという歌。

夜の婦負川で、篝火をともして鵜飼をする男たち

題詞鸕を潛くる人を見て作れる歌一首

  1. 1婦負めひ婦負めひめい河がは河がはがわののの賣比河波能
  2. 2早はや早はやはやききき瀨せ瀨せせごとごとごとににに波夜伎瀨其等爾
  3. 3篝かがり篝かがりかがりさしさしさし可我里佐之
  4. 4八十やそ八十やそやそ伴とも伴ともともののの男を男をおははは夜蘇登毛乃乎波
  5. 5鵜河うかは鵜河うかはうかわ立た立たたちちちけりけりけり宇加波多知家里

引用の仕方

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現代語訳

婦負川の早瀬ごとに篝火をともして、多くの男たちは鵜飼をしていた。

意訳

夜の川瀬ごとに篝火が並び、大勢の男たちが鵜飼をする壮観を詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

婦負河
「めひがは」。婦負郡の川。
篝さし
篝火をともして。
八十伴の男
多くの男たち。
鵜河立ち
鵜飼をして。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・4023番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平20年春、越中守大伴家持が出挙のために越中の諸郡を巡行したときの歌の一つ(4021〜4029番)。

修辞

写生
篝火の並ぶ夜の鵜飼の情景を詠む。

解説

家持は「放逸せる鷹を思ふ歌」(4011番)でも越中の鵜飼を詠んでいる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、637頁(コマ111)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、750頁(コマ139)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日