古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 3999番

京方に 立つ日近づく

大伴家持(おおとものやかもち)

天平19年4月26日、上京を控えた大伴家持が、自分の館での宴で詠んだ歌。都へ発つ日が近づいた、飽きるまで顔を合わせて行こう、恋しく思う日が多いだろうからという歌。

国守の館で、別れを惜しんで酒を酌み交わす官人たち

題詞守大伴宿禰家持の館にて飮宴の歌一首

  1. 1京みやこ京みやこみやこ方べ方べべににに美夜故弊爾
  2. 2立た立たたつつつ日ひ日ひひ近ちか近ちかちかづくづくづく多都日知可豆久
  3. 3飽あ飽ああくくくまでまでまでににに安久麻底爾
  4. 4相あひ相あひあい見み見みみててて行ゆ行ゆゆかかかななな安比見而由可奈
  5. 5戀こ戀ここふるふるうる日ひ日ひひ多おほ多おほおおけむけむけむ故布流比於保家牟

引用の仕方

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現代語訳

都の方へ発つ日が近づいた。飽きるまで顔を合わせてから行こう。恋しく思う日が多いだろうから。

意訳

上京の日が迫り、越中の官人たちとの別れを惜しんで、今のうちに心ゆくまで顔を合わせておこうと詠んだ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

京方
「みやこべ」。都の方。
飽くまでに
満ち足りるまで。
相見て行かな
顔を合わせてから行こう。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・3999番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平19年4月26日、越中守大伴家持の館での宴の歌。

修辞

理由づけ
結句「戀ふる日多けむ」で、今のうちに逢っておく理由を述べる。

解説

家持は池主の館での送別の宴(3995〜3998番)と同じ日に、自らの館でも宴を開いた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、631頁(コマ108)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、741頁(コマ134)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日