古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 3915番

あしひきの 山谷越えて

山部赤人(やまべのあかひと)

山部赤人が春の鶯を詠んだ歌。山の谷を越えて野の高いところで、今ごろ鳴いているだろう鶯の声よという歌。

春の野の小高いところで、鶯が鳴いている

題詞山部宿禰明人、春鶯を詠める歌一首

  1. 1あしひきあしひきあしひきののの安之比奇能
  2. 2山やま山やまやま谷たに谷たにたに越こ越ここえええててて山谷古延氐
  3. 3野ぬ野ぬぬづかさづかさづかさににに野豆加佐爾
  4. 4今いま今いまいまははは鳴な鳴ななくくくらむらむらん今者鳴良武
  5. 5鶯うぐひす鶯うぐひすうぐいすののの聲こゑ聲こゑこえ宇具比須乃許惠

引用の仕方

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現代語訳

(あしひきの)山や谷を越えて、野の小高いところで、今ごろは鳴いているだろう、鶯の声よ。

意訳

山を越えて野の高みで鳴いているだろう鶯の声を思いやる、山部赤人の春の歌である。年月や場所は不明で、聞いたままに記したと左注にある。

語釈・文法注

文法・本文

野づかさ
「ぬづかさ」。野の中の小高いところ。
今は鳴くらむ
今ごろは鳴いているだろう。

和歌

作者
山部赤人(生没年未詳(8世紀前半))
聖武天皇の時代に宮廷に仕えた歌人。天皇の行幸に従って、各地の景色をたたえる歌を多く詠んだ。澄んだ叙景にすぐれ、のちに柿本人麻呂と並ぶ「歌聖」とされた。百人一首の第4首「田子の浦にうち出でてみれば」は、この反歌をもとにした形である。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・3915番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
山部赤人が春の鶯を詠んだ歌。

修辞

推量
見えない鶯の声を思いやる。

解説

家持が伝え聞いた赤人の歌を記しとどめたもの。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、612頁(コマ99)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、717頁(コマ122)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日