古典ライブラリー

万葉集 巻第十七 3900番

織女し 船乘りすらし

大伴家持(おおとものやかもち)

天平10年(738)七夕の夜、大伴家持がひとり天の川を仰いで詠んだ歌。織女が船出するらしい、澄んだ月夜に雲が立ち渡っているという歌。

澄んだ月夜の天の川に、雲がかかり始めている

題詞十年七月七日の夜、獨天漢を仰ぎて聊か懷を述ぶる一首

  1. 1織女たなばた織女たなばたたなばたししし多奈波多之
  2. 2船ふな船ふなふな乘の乘ののりりりすらしすらしすらし船乘須良之
  3. 3まそまそまそかがみかがみかがみ麻蘇鏡
  4. 4淸きよ淸きよきよききき月つく月つくつく夜よ夜よよににに吉欲伎月夜爾
  5. 5雲くも雲くもくも立た立たたちちち渡わた渡わたわたるるる雲起和多流

引用の仕方

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現代語訳

織女が船に乗るらしい。(まそかがみ)清らかな月夜に、雲が立ち渡っている。

意訳

七夕の夜、天の川にかかる雲を、織女が船出する気配と見て詠んだ家持の歌である。

語釈・文法注

文法・本文

織女
「たなばた」。織女星。
まそかがみ
「清き」にかかる枕詞。
月夜
「つくよ」。月夜。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守・少納言・兵部少輔などを歴任し、晩年は中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した歌人で、その編纂にも深く関わったとされる。繊細で感傷的な歌風は、万葉集の第4期を代表する。百人一首の第6首の作者でもある。
出典
『万葉集』巻第十七・部立なし・3900番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平10年七夕の夜、大伴家持の独詠。

修辞

見立て
雲の動きを織女の船出と見る。

解説

家持の若い頃の作で、巻第十七はこのあたりから家持の歌日記の性格を強める。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、610頁(コマ98)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、714頁(コマ121)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日