古典ライブラリー

万葉集 巻第九 1763番

倉橋の 山を高みか

沙弥女王(さみのおおきみ)

倉橋の山が高いからだろうか、夜が更けてから出て来る月を待ちかねることだ。沙弥女王の歌。

倉橋の山の稜線の上に、夜更けてようやく月が昇ろうとしている

題詞沙彌女王の歌一首

  1. 1倉橋くらはし倉橋くらはしくらはしののの倉橋之
  2. 2山やま山やまやまををを高たか高たかたかみみみかかか山乎高歟
  3. 3夜よ夜よよ隱ごも隱ごもごもりりりににに夜窄爾
  4. 4出い出いいででで來く來くくるるる月つき月つきつきののの出來月之
  5. 5片かた片かたかた待ま待ままちちち難がた難がたがたききき片待難

引用の仕方

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現代語訳

倉橋の山が高いからだろうか、夜更けになって出て来る月を、ひたすら待ちかねることだ。

意訳

倉橋の山が高いせいか、夜が更けてからようやく出る月を、今か今かと待ち続ける。月を待つ心に、人を待つ思いを重ねているともとれる。

語釈・文法注

文法・本文

夜隱りに
「よごもりに」。夜が更けてから。
片待ち難き
ひたすら待つのがつらい。

和歌

作者
沙弥女王(未詳)
伝未詳の女性皇族。
出典
『万葉集』巻第九・雑歌・1763番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
沙弥女王の歌。巻第三の間人大浦の歌と末句だけが異なる。

修辞

疑問
「山を高みか」と、月の出の遅い理由を推し量る。

解説

作者が二人伝わるため、編者は決めかねてここにも重ねて載せたと左注にある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、360頁(コマ184)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、408頁(コマ210)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日