古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1660番

梅の花 散らす冬風の

大伴駿河麻呂(おおとものするがまろ)

梅の花を散らす冬の風の音のように、噂にばかり聞いていたあなたに逢えたのはうれしい。大伴駿河麻呂の歌。

冬の嵐が梅の花を散らす夜、若者が初めて恋人と向き合っている

題詞大伴宿禰駿河麻呂の歌一首

  1. 1梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな梅花
  2. 2散ち散ちちらすらすらす冬ふゆ冬ふゆふゆ風あらし風あらしあらしののの令落冬風
  3. 3音おと音おとおとのみのみのみににに音耳
  4. 4聞き聞きききききししし吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹ももををを聞之吾妹乎
  5. 5見み見みみらくらくらくしししよしよしよしももも見良久志吉裳

引用の仕方

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現代語訳

梅の花を散らす冬の嵐の音のように、噂にばかり聞いていたあなたに逢えたのは、うれしいことだ。

意訳

これまで噂に聞くだけだった女性に、ようやく逢うことができた喜びを歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

冬風
「ふゆあらし」と訓む。
見らくしよしも
見ることはよいものだ。

和歌

作者
大伴駿河麻呂(?–776)
大伴御行の孫。坂上郎女の娘、二嬢を妻としたとされる。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1660番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴駿河麻呂の歌。

修辞

序詞
「梅の花散らす冬風の」が「音」を導く。

解説

「音に聞く」と「見る」を対比させた表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、337頁(コマ172)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、381頁(コマ196)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日