古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1622〜1623番

吾が屋戸の 秋の萩咲く

大伴田村大嬢(おおとものたむらのおおいらつめ)

わが家の秋の萩の咲く夕べの光の中で、今すぐにでも見たいものだ、あなたの姿を。わが家で色づく楓を見るたびに、あなたを心にかけて、恋しく思わない日はない。大伴田村大嬢が妹の坂上大嬢に贈った歌二首。

夕暮れの庭に萩が咲き、色づいた楓の葉が赤く光っている

題詞大伴田村大孃、妹坂上大孃に與ふる歌二首

  1. 1吾わ吾わわががが屋や屋やや戸ど戸どどののの吾屋戸乃1622
  2. 2秋あき秋あきあきののの萩はぎ萩はぎはぎ咲さ咲ささくくく秋之芽子開
  3. 3夕ゆふ夕ゆふゆう影かげ影かげかげににに夕影爾
  4. 4今いま今いまいまももも見み見みみてててしかしかしか今毛見師香
  5. 5妹いも妹いもいもががが光すが光すがすが儀た儀たたををを妹之光儀乎
  6. 6吾わ吾わわががが屋や屋やや戸ど戸どどににに吾屋戸爾1623
  7. 7黃變もみ黃變もみもみづづず鷄冠木かへるで鷄冠木かへるでかえるで黃變蝦手
  8. 8見み見みみるるるごとごとごとににに毎見
  9. 9妹いも妹いもいもををを懸か懸かかけけけつつつつつつ妹乎懸管
  10. 10戀こ戀ここひひいぬぬぬ日ひ日ひひははは無な無ななししし不戀日者無

引用の仕方

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現代語訳

〔1622〕わが家の秋の萩が咲いている夕べの光の中で、今すぐにも見たいものだ、あなたの姿を。

〔1623〕わが家で色づく楓を見るたびに、あなたを心にかけて、恋しく思わない日はない。

意訳

離れて暮らす異母妹への慕わしさを、萩の咲く夕暮れと色づく楓に託して歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

光儀
「すがた」。
鷄冠木
「かへるで」。カエデ。

和歌

作者
大伴田村大嬢(生没年未詳)
大伴宿奈麻呂の娘。坂上大嬢の異母姉。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1622〜1623番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴田村大嬢が、異母妹の坂上大嬢に贈った歌二首。

解説

姉妹の親愛を、恋の歌と同じ言葉で表している。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、331頁(コマ169)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、373頁(コマ192)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日