万葉集 巻第八 1570〜1571番
此間に在りて 春日や何處
ここにいて、春日はどちらの方角だろう。雨に閉じこめられて出かけられないので、恋しく思い続けている。春日野に時雨が降るのが見える。明日からは黄葉を挿頭にしよう、高円の山の。藤原八束の歌二首。
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題詞藤原朝臣八束の歌二首
現代語訳
〔1570〕ここにいて、春日はどちらだろう。雨に閉じこめられて出かけられないので、恋しく思い続けている。
〔1571〕春日野に時雨の降るのが見える。明日からは黄葉を挿頭にしよう、高円の山の。
意訳
1570番は、雨のために春日へ出かけられず、その方角を思いやって恋しがる歌、1571番は、春日野に降る時雨を見て、明日からは高円山の黄葉を挿頭にできるだろうと、紅葉を待ち望む歌である。
語釈・文法注
文法・本文
- 雨障
- 「あまつつみ」。雨にさえぎられて家にこもること。
和歌
- 作者
- 藤原八束(715–766)
藤原房前の子。のちに真楯と名を改めた。大伴家持と親しかった。 - 出典
- 『万葉集』巻第八・雑歌・1570〜1571番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 藤原八束の歌二首。
解説
時雨が黄葉を促すという発想は、1551番の市原王の歌にも見られる。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、323頁(コマ165)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、364頁(コマ188)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日