古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1550番

秋萩の 散りの亂に

湯原王(ゆはらのおおきみ)

秋萩が散り乱れる中で、妻を呼び立てて鳴いている鹿の声の、遠くはるかなことよ。湯原王の鹿の歌。

萩の花が散り乱れる野の奥から、鹿の声が遠く響いてくる

題詞湯原王の鳴鹿の歌一首

  1. 1秋あき秋あきあき萩はぎ萩はぎはぎののの秋芽之
  2. 2散ち散ちちりりりののの亂まがひ亂まがひまがいににに落乃亂爾
  3. 3呼よ呼よよびびび立た立たたてててててて呼立而
  4. 4鳴な鳴ななくくくなるなるなる鹿しか鹿しかしかののの鳴奈流鹿之
  5. 5聲こゑ聲こゑこえののの遙はる遙はるはるけさけさけさ音遙者

引用の仕方

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現代語訳

秋萩が散り乱れる中で、妻を呼び立てて鳴いているらしい鹿の、声の遠くはるかなことよ。

意訳

萩の花が散り乱れる野の奥から、妻を呼ぶ鹿の声が遠く聞こえてくる。視覚と聴覚を重ねた、奥行きのある秋の景である。

語釈・文法注

文法・本文

散りの亂
「ちりのまがひ」。散り乱れること。

和歌

作者
湯原王(生没年未詳)
志貴皇子の子。清らかで繊細な歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1550番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
湯原王の鹿の歌。

解説

萩と鹿の取り合わせを、遠い声によって静かに描いている。

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出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、321頁(コマ164)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、361頁(コマ186)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日