古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1548番

咲く花も 輕率はうとし

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)

咲く花も、早咲きの軽はずみなものは疎ましい。遅咲きの長く変わらない心には、やはりかなわない。大伴坂上郎女の遅咲きの萩の歌。

秋の終わりの庭で、遅咲きの萩がひっそりと花をつけている

題詞大伴坂上郎女の晩き萩の歌一首

  1. 1咲さ咲ささくくく花はな花はなはなももも咲花毛
  2. 2輕率をそろ輕率をそろおそろはははうとしうとしうとし乎曾呂波猒
  3. 3晩おくて晩おくておくてなるなるなる奧手有
  4. 4長なが長ながながききき心こころ心こころこころににに長意爾
  5. 5なほなほなお如し如ししかかかずずずけりけりけり尙不如家里

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

咲く花も、早咲きの軽はずみなものは疎ましい。遅咲きの、長く変わらない心には、やはりかなわないことだ。

意訳

早く咲いてすぐ散る花よりも、遅く咲く萩のように、ゆっくりと長く変わらない心の方がよいと歌い、恋においても誠実で変わらない心をよしとしている。

語釈・文法注

文法・本文

輕率
「をそろ」。軽はずみ。
晩
「おくて」。遅咲き。

和歌

作者
大伴坂上郎女(生没年未詳)
大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹。家持の叔母で、のちに姑となった。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1548番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴坂上郎女の遅咲きの萩の歌。

修辞

対比
早咲きと遅咲きを対比する。

解説

花の性質を人の心にたとえた、教訓的な味わいのある歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、321頁(コマ164)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、361頁(コマ186)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日