古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1547番

さを鹿の 萩に貫き置ける

藤原八束(ふじわらのやつか)

雄鹿が萩に貫いておいた露の白玉を、むやみに誰が手に巻こうというのか。藤原八束の旋頭歌。

萩の枝に白い露の玉が連なって光り、その下に雄鹿がたたずんでいる

題詞藤原朝臣八束の歌一首

  1. 1さをさをさお鹿しか鹿しかしかののの棹四香能
  2. 2萩はぎ萩はぎはぎににに貫ぬ貫ぬぬききき置お置おおけけけるるる芽二貫置有
  3. 3露つゆ露つゆつゆののの白しら白しらしら珠たま珠たまたま露之白珠
  4. 4あふさわあふさわあうさわににに相佐和仁
  5. 5誰たれ誰たれたれののの人ひと人ひとひとかもかもかも誰人可毛
  6. 6手て手ててににに纏ま纏ままかかかむむんちふちふちゅう手爾將卷知布

引用の仕方

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現代語訳

雄鹿が萩に貫いておいた露の白玉を、軽々しく、いったい誰が手に巻こうというのか。

意訳

萩の枝に連なる露を、鹿が萩に貫いた白玉に見立て、それを誰が軽々しく手に巻こうとするのかと歌っている。萩(大切な女性)に手を出そうとする者を牽制する寓意ともとれる。

語釈・文法注

文法・本文

あふさわに
軽々しく、むやみに。
纏かむちふ
巻こうというのか。

和歌

作者
藤原八束(715–766)
藤原房前の子。のちに真楯と名を改めた。大伴家持と親しかった。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1547番
歌体
旋頭歌(五七七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
藤原八束の旋頭歌。

修辞

見立て
萩の露を白玉に見立てる。

解説

萩の露を玉とする見立ては、のちの和歌の定番となった。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、321頁(コマ164)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、361頁(コマ186)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日