古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1515番

事しげき 里に住まずは

但馬皇女(たじまのひめみこ)

人の噂のうるさい里に住んでいないで、今朝鳴いた雁といっしょに飛んで行ってしまいたかったのに。但馬皇女の歌。

明け方の空を雁が飛んでいき、宮殿の女性がそれを見上げている

題詞但馬皇女の御歌一首

  1. 1事こと事ことことしげきしげきしげき事繁
  2. 2里さと里さとさとににに住す住すすまままずずずははは里爾不住者
  3. 3今け今けけ朝さ朝ささ鳴な鳴ななきききししし今朝鳴之
  4. 4雁かり雁かりかりににに副たぐ副たぐたぐひひいててて鴈爾副而
  5. 5行ゆ行ゆゆかかかましましましものものものををを去益物乎

引用の仕方

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現代語訳

人の噂のうるさい里になど住んでいないで、今朝鳴いた雁に連れ添って、飛んで行ってしまいたかったのに。

意訳

噂の絶えない里に住むのはつらいので、いっそ今朝鳴いて渡っていった雁といっしょに、遠くへ飛んで行ってしまいたいと嘆いている。穂積皇子との恋の噂を思わせる歌である。

語釈・文法注

文法・本文

事しげき
人の噂がうるさい。
副ひて
「たぐひて」。連れ添って。

和歌

作者
但馬皇女(?–708)
天武天皇の皇女。高市皇子の宮にいたころ、穂積皇子との恋が噂になった。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1515番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
但馬皇女の歌。一書には子部王の作とある。

解説

但馬皇女と穂積皇子の恋は、巻第二の114〜116番に歌われている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、317頁(コマ162)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、356頁(コマ184)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日