古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1494〜1495番

夏山の 木末の繁に

大伴家持(おおとものやかもち)

夏山の梢の茂みで、ほととぎすの鳴きとよもす声が、遠くはるかに聞こえる。木の間をくぐって鳴くほととぎすの声を聞きはじめて、後に恋しく思うだろうか。大伴家持のほととぎすの歌二首。

深い緑の夏山の梢の奥から、ほととぎすの声が遠く響いてくる

題詞大伴家持の霍公鳥の歌二首

  1. 1夏なつ夏なつなつ山やま山やまやまののの夏山之1494
  2. 2木こ木ここ末ぬれ末ぬれぬれののの繁しじ繁しじしじににに木末乃繁爾
  3. 3ほととぎすほととぎすほととぎす霍公鳥
  4. 4鳴な鳴ななききき響とよ響とよとよむむむなるなるなる鳴響奈流
  5. 5聲こゑ聲こゑこえののの遙はる遙はるはるけさけさけさ聲之遙佐
  6. 6あしひきあしひきあしひきののの足引乃1495
  7. 7木こ木ここののの間ま間まま立た立たたちちち潛く潛くくくくく許乃間立八十一
  8. 8霍公鳥ほととぎす霍公鳥ほととぎすほととぎす霍公鳥
  9. 9斯か斯かかくくく聞き聞きききききそめそめそめててて如此聞始而
  10. 10後のち後のちのち戀こ戀ここひひいむむんかもかもかも後將戀可聞

引用の仕方

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現代語訳

〔1494〕夏山の梢の茂みで、ほととぎすが鳴きとよもしているらしい、その声の遠くはるかなことよ。

〔1495〕(あしひきの)木の間をくぐって鳴くほととぎすの声を、こうして聞きはじめて、後になって恋しく思うのだろうか。

意訳

1494番は、夏山の深い茂みの奥から響くほととぎすの声のはるかさを、1495番は、こうして初音を聞いてしまったからには、この先その声が恋しくてならないだろうと歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

繁に
茂みに。
八十一
「くく」と訓む戯書(九九=八十一)。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1494〜1495番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持のほととぎすの歌二首。

解説

1495番の原文「立八十一」は、九九の八十一で「くく」と読ませる遊びの表記である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、314頁(コマ161)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、352頁(コマ182)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日