古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1491番

卯の花の 過ぎば惜しみか

大伴家持(おおとものやかもち)

卯の花が散ってしまうのを惜しんでか、ほととぎすが雨の晴れ間も置かずに、ここを鳴いて渡っていく。雨の日にほととぎすの声を聞いた大伴家持の歌。

雨の降る中、卯の花の咲く垣根の上をほととぎすが鳴いて飛んでいく

題詞大伴家持の雨の日霍公鳥の喧くを聞ける歌一首

  1. 1卯う卯ううののの花はな花はなはなののの宇乃花能
  2. 2過す過すすぎぎぎばばば惜を惜をおしみしみしみかかか過者惜香
  3. 3ほととぎすほととぎすほととぎす霍公鳥
  4. 4雨あま雨あまあま間ま間ままももも措お措おおかかかずずず雨間毛不置
  5. 5此間ここ此間ここここゆゆゆ喧な喧ななききき渡わた渡わたわたるるる從此間喧渡

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

卯の花が散ってしまうのを惜しんでか、ほととぎすが、雨の晴れ間も待たずに、ここを鳴いて渡っていく。

意訳

雨の中でもほととぎすが鳴いて渡っていくのは、卯の花の散るのを惜しんでいるからだろうと、鳥の心を思いやっている。

語釈・文法注

文法・本文

雨間
「あまま」。雨の晴れ間。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1491番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持が雨の日にほととぎすの鳴くのを聞いて詠んだ歌。

解説

卯の花とほととぎすを結びつけた家持の歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、313頁(コマ160)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、351頁(コマ181)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日