古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1479番

隱りのみ 居れば鬱悒み

大伴家持(おおとものやかもち)

家にこもってばかりいると気がふさぐので、気晴らしに外に出て聞くと、ひぐらしが来て鳴いている。大伴家持のひぐらしの歌。

夏の夕暮れ、屋敷の門を出た若者が、木立から聞こえるひぐらしの声に耳を傾けている

題詞大伴家持の晩蟬の歌一首

  1. 1隱こも隱こもこもりりりのみのみのみ隱耳
  2. 2居を居をおれれればばば鬱悒いぶせ鬱悒いぶせいぶせみみみ居者欝悒
  3. 3慰なぐさ慰なぐさなぐさむむむととと奈具左武登
  4. 4出い出いいででで立た立たたちちち聞き聞ききけけけばばば出立聞者
  5. 5來き來きき鳴な鳴ななくくく晩ひぐら晩ひぐらひぐら蟬し蟬しし來鳴日晩

引用の仕方

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現代語訳

家にこもってばかりいると気がふさぐので、気晴らしをしようと外に出て聞くと、ひぐらしが来て鳴いている。

意訳

家に閉じこもって鬱々としていたので、気を晴らそうと外に出てみると、ひぐらしが鳴いていた。その声に心がいっそう寂しくなったとも、慰められたともとれる。

語釈・文法注

文法・本文

鬱悒み
「いぶせみ」。気がふさぐので。
晩蟬
「ひぐらし」。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1479番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持のひぐらしの歌。

解説

家持の憂愁の歌の早い例である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、311頁(コマ159)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、350頁(コマ181)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日