古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1471番

戀しけば 形見にせむと

山部赤人(やまべのあかひと)

恋しく思ったら形見にしようと、わが家の庭に植えた藤の花は、今咲いたことだ。山部赤人の歌。

屋敷の庭の藤棚に紫の花房が垂れ、男が遠くの人を思っている

題詞山部宿禰赤人の歌一首

  1. 1戀こひ戀こひこいしけしけしけばばば戀之家婆
  2. 2形かた形かたかた見み見みみにににせせせむむんととと形見爾將爲跡
  3. 3吾わ吾わわががが屋や屋やや戸ど戸どどににに吾屋戶爾
  4. 4植う植ううゑゑえししし藤ふぢ藤ふぢふじ浪なみ浪なみなみ殖之藤浪
  5. 5いまいまいま咲さ咲ささきききにににけりけりけり今開爾家里

引用の仕方

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現代語訳

恋しくなったら形見にしようと、わが家の庭に植えた藤の花は、今咲いたことだ。

意訳

恋しい人を思い出すよすがにと植えた藤が、今美しく咲いた。花を見ていっそう人を思う心がつのっている。

語釈・文法注

文法・本文

藤浪
風に揺れる藤の花房を波にたとえた語。

和歌

作者
山部赤人(生没年未詳)
聖武天皇の時代の宮廷歌人。清らかな叙景歌にすぐれた。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1471番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
山部赤人の歌。

解説

形見の花を植えるという発想は、相聞的な心をもっている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、310頁(コマ159)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、348頁(コマ180)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日