古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1446番

春の野に 求食る雉の

大伴家持(おおとものやかもち)

春の野で餌をあさる雉は、妻を恋しがって鳴くので、自分のいる場所を人に知られてしまう。大伴家持の春の雉の歌。

春の野の草むらで、雉が首を上げて妻を呼び、その声で居場所が知れてしまう

題詞大伴宿禰家持の春雉の歌一首

  1. 1春はる春はるはるののの野ぬ野ぬぬににに春野爾
  2. 2求食あさ求食あさあさるるる雉きぎし雉きぎしきぎしののの安佐留鳩乃
  3. 3妻つま妻つまつま戀ごひ戀ごひごいににに妻戀爾
  4. 4己おの己おのおのがががあたりあたりあたりををを己我當乎
  5. 5人ひと人ひとひとににに知し知ししれれれつつつつつつ人爾令知管

引用の仕方

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現代語訳

春の野で餌をあさる雉は、妻を恋しがって鳴くので、自分のいるあたりを人に知られてしまう。

意訳

春の野で妻を呼んで鳴く雉は、その声のためにかえって居場所を人に知られてしまう。恋心を隠しきれずに人に知られてしまう自分を、雉に重ねているとみられる。

語釈・文法注

文法・本文

求食る
「あさる」。餌を探す。
妻戀
妻を恋い慕うこと。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1446番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持の春の雉の歌。

修辞

寓意
雉に恋を隠せない自分を重ねる。

解説

「雉も鳴かずば撃たれまい」ということわざにも通じる発想である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、306頁(コマ157)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、343頁(コマ177)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日