古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1445番

風交り 雪は零るとも

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)

風に交じって雪は降っても、まだ実にならないわが家の梅を、花のまま散らさないでおくれ。大伴坂上郎女の歌。

風雪の中で、屋敷の庭の梅の花が枝にしがみつくように咲いている

題詞大伴坂上郎女の歌一首

  1. 1風かぜ風かぜかぜ交まじ交まじまじりりり風交
  2. 2雪ゆき雪ゆきゆきははは零ふ零ふふるるるともともとも雪者雖零
  3. 3實み實みみにににならならならぬぬぬ實爾不成
  4. 4吾家わぎへ吾家わぎへわぎえののの梅うめ梅うめうめををを吾宅之梅乎
  5. 5花はな花はなはなににに散ち散ちちらすらすらすななな花爾令落莫

引用の仕方

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現代語訳

風に交じって雪は降っても、まだ実にならないわが家の梅を、花のままで散らさないでおくれ。

意訳

まだ実を結ばない庭の梅を、風雪に散らさないでほしいと願っている。年ごろの娘の縁談がまとまる前に、悪い噂などで傷つかないようにと願う、母の心をこめた歌とする説もある。

語釈・文法注

文法・本文

實にならぬ
まだ実を結ばない。

和歌

作者
大伴坂上郎女(生没年未詳)
大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹。家持の叔母で、のちに姑となった。万葉集の女性歌人のうち最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1445番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴坂上郎女の歌。

修辞

寓意
実にならない梅に、まだ嫁がない娘を重ねるとみる説がある。

解説

坂上郎女には、娘の大嬢を思う歌が多い。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、306頁(コマ157)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、343頁(コマ177)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日