古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1438番

霞立つ 春日の里の

大伴駿河麻呂(おおとものするがまろ)

春日の里の梅の花に、花だけのことで問いかけようなどとは、私は思っていない。大伴駿河麻呂の歌。

春日の里の梅の木の下で、男が梅の花を見上げて誰かを思っている

題詞大伴宿禰駿河麻呂の歌一首

  1. 1霞かすみ霞かすみかすみ立た立たたつつつ霞立
  2. 2春日かすが春日かすがかすがののの里さと里さとさとののの春日里之
  3. 3梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな梅花
  4. 4はなはなはなににに問と問ととはははむむんととと波奈爾將問常
  5. 5吾わ吾わわががが念おも念おもおもははわなくなくなくににに吾念奈久爾

引用の仕方

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現代語訳

霞の立つ春日の里の梅の花よ。花だけのいいかげんな気持ちで問いかけようなどとは、私は思っていないのに。

意訳

梅の花(相手の女性)に、うわべだけの「はな(あだ)」な心で言い寄るつもりはないと、真剣な思いを訴えている。

語釈・文法注

文法・本文

はなに
「花」と「あだ(うわべだけ)」の意の「はな」をかける。

和歌

作者
大伴駿河麻呂(?–776)
大伴御行の孫。坂上郎女の娘、二嬢を妻としたとされる。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1438番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴駿河麻呂の歌。

修辞

掛詞
「はな」に「花」と「うわべだけ」をかける。

解説

梅の花に恋の相手を重ねた、雑歌の中の恋の心をもつ歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、305頁(コマ156)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、342頁(コマ177)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日