古典ライブラリー

万葉集 巻第六 1036番

關無くは 還りにだにも

大伴家持(おおとものやかもち)

関所がなかったら、ちょっと帰るだけでも行って、妻の手枕をして寝ようものを。不破の関の行宮で大伴家持が詠んだ歌。

山あいの不破の関の門の前で、若い官人が都の方角を見つめている

題詞不破の行宮にて、大伴宿禰家持の作れる歌一首

  1. 1關せき關せきせき無な無ななくくくははは關無者
  2. 2還かへ還かへかえりりりにににだにだにだにももも還爾谷藻
  3. 3うちうちうち行ゆ行ゆゆきききててて打行而
  4. 4妹いも妹いもいもががが手た手たた枕まくら枕まくらまくら妹之手枕
  5. 5纏ま纏ままきききててて宿ね宿ねねましましましををを卷手宿益乎

引用の仕方

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現代語訳

関所がなかったら、帰るだけでも行って、妻の手枕をして寝ようものを。

意訳

不破の関まで来ると、都はもう遠い。関所がなかったら、ちょっと帰って妻と共寝をしたいのにと、行幸の旅の長さに妻恋しさをつのらせている。

語釈・文法注

文法・本文

關無くは…宿ましを
反実仮想。関所がなかったら寝るだろうに。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・1036番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平12年(740)の行幸の途中、不破の行宮で大伴家持が詠んだ歌。

解説

不破の関は東山道の関で、ここを越えれば東国である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、249頁(コマ128)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、271頁(コマ141)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日