万葉集 巻第六 1009番
橘は 實さへ花さへ
橘は、実も花もその葉も美しく、枝に霜が降りてもいよいよ常緑の木だ。葛城王(橘諸兄)らに橘の姓を賜ったときの聖武天皇の御製。
場面イラスト(準備中)
題詞冬十一月、左大辨葛城王等に、姓橘氏を賜へる時、御製の歌一首
現代語訳
橘は、実も花も、その葉までも美しく、枝に霜が降っても、いよいよ常緑の木であることよ。
意訳
天平8年(736)11月、葛城王(のちの橘諸兄)と佐為王は、皇族の身分を離れて、母の県犬養三千代の姓である橘を名のることを許された。天皇はこれを祝い、実も花も葉も美しく、霜にも負けず常緑を保つ橘の木にたとえて、橘氏の永遠の繁栄を祈っている。
語釈・文法注
文法・本文
- 常葉
- 「とこは」は一年中緑の葉。
和歌
- 作者
- 聖武天皇(701–756)
文武天皇の皇子。奈良時代の天皇で、東大寺の大仏を造立した。 - 出典
- 『万葉集』巻第六・雑歌・1009番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 天平8年(736)11月、葛城王らに橘の姓を賜ったときの天皇の御製。左注は太上天皇(元正天皇)の御歌ともいう。
修辞
- 反復
- 「實さへ花さへその葉さへ」と「さへ」を重ねる。
解説
橘諸兄はのちに左大臣となり、大伴家持らと親しく、万葉集の成立にもかかわったとされる。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、243頁(コマ125)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、265頁(コマ138)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日