古典ライブラリー

万葉集 巻第六 991番

石走り 激ち流るる

紀鹿人(きのかひと)

岩の上を激しく流れる泊瀬川が絶えることのないように、またやって来て見よう。泊瀬川の清流をたたえた紀鹿人の歌。

岩の間を白く泡立って流れる泊瀬川の早瀬を、旅人が見下ろしている

題詞同じき鹿人、泊瀨河の邊に至りて作れる歌一首

  1. 1石いは石いはいわ走ばし走ばしばしりりり石走
  2. 2激たぎ激たぎたぎちちち流なが流ながながるるるるるる多藝千流留
  3. 3泊瀨はつせ泊瀨はつせはつせ川がは川がはがわ泊瀨河
  4. 4絕た絕たたゆるゆるゆることことことなくなくなく絕事無
  5. 5またまたまたももも來き來ききててて見み見みみむむむ亦毛來而將見

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

岩の上を走り激しく流れる泊瀬川が絶えることのないように、絶えることなく、またも来て見よう。

意訳

岩をかんで激しく流れる泊瀬川の流れは絶えることがない。その流れのように、自分もまた絶えずここへ来て見ようと、川の美しさをたたえている。

語釈・文法注

文法・本文

石走り
岩の上を水が走る。

和歌

作者
紀鹿人(生没年未詳)
奈良時代の官人。紀女郎の父。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・991番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
紀鹿人が、泊瀬川のほとりで詠んだ歌。

修辞

序詞
「石走り激ち流るる泊瀨川」が「絶ゆることなく」を導く。

解説

人麻呂の吉野讃歌(巻第一の37番)の「絶ゆることなくまたかへり見む」を思わせる表現である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、240頁(コマ124)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、262頁(コマ137)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日