古典ライブラリー

万葉集 巻第六 990番

茂岡に 神さび立ちて

紀鹿人(きのかひと)

茂岡に神々しく立って栄えている、千年を待つという松の樹は、その年齢もわからないほどだ。跡見の茂岡の老松を詠んだ紀鹿人の歌。

小高い岡の上に、幹の太い老松が神々しく枝を広げて立っている

題詞紀朝臣鹿人、跡見の茂岡の松の樹を見る歌一首

  1. 1茂しげ茂しげしげ岡をか岡をかおかににに茂岡爾
  2. 2神かむ神かむかむさびさびさび立た立たたちちちててて神佐備立而
  3. 3榮さか榮さかさかえええたるたるたる榮有
  4. 4千ち千ちち代よ代よよまつまつまつののの樹き樹ききののの千代松樹乃
  5. 5歳とし歳としとしののの知し知ししらららなくなくなく歲之不知久

引用の仕方

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現代語訳

茂岡に神々しく立って栄えている、千年を待つという松の樹の、年齢のわからないことよ。

意訳

跡見の茂岡に立つ松の大木は、神々しく栄えていて、どれほどの年月を経てきたのかわからない。「千代まつ」に、千年を「待つ」と「松」とをかけ、松の長寿をたたえている。

語釈・文法注

文法・本文

千代まつ
千年を待つ意に「松」をかける。

和歌

作者
紀鹿人(生没年未詳)
奈良時代の官人。紀女郎の父。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・990番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
紀鹿人が、跡見(奈良県桜井市外山のあたり)の茂岡の松を見て詠んだ歌。

修辞

掛詞
「まつ」に「待つ」と「松」をかける。

解説

跡見は大伴氏の庄のあった地(巻第四の723番)で、大伴氏と親しい人々の交わりの中で詠まれたとみられる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、240頁(コマ124)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、262頁(コマ137)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日