古典ライブラリー

万葉集 巻第六 975番

斯くしつつ 在らくを好みぞ

安倍広庭(あべのひろにわ)

こうして過ごしていることがよいので、短い命を長くあれと願うのだ。安倍広庭の歌。

宴の席で、老いた貴人が杯を手に、穏やかな笑みを浮かべている

題詞中納言安倍廣庭卿の歌一首

  1. 1斯か斯かかくくくしししつつつつつつ如是爲管
  2. 2在あ在ああらくらくらくををを好よ好よよみみみぞぞぞ在久乎好叙
  3. 3たまきはるたまきはるたまきわる靈剋
  4. 4短みじか短みじかみじかききき命いのち命いのちいのちををを短命乎
  5. 5長なが長ながながくくく欲ほ欲ほほりりりするするする長欲爲流

引用の仕方

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現代語訳

こうしていることがよいので、(たまきはる)短い命を長くあれと願うのだ。

意訳

今のこの楽しい時がいつまでも続いてほしいから、人の短い命を長くあってほしいと願うのだと歌う。宴の席の歌とみられ、生きる喜びを素直に表している。

語釈・文法注

文法・本文

在らく
「在り」のク語法。こうしていること。

和歌

作者
安倍広庭(659–732)
奈良時代初めの官人。中納言に至った。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・975番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
中納言安倍広庭の歌。広庭は天平4年(732)に亡くなっている。

修辞

枕詞
「たまきはる」が「命」にかかる。

解説

晩年の作とみられ、老いの身で今を楽しむ心境が伝わる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、237頁(コマ122)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、259頁(コマ135)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日