古典ライブラリー

万葉集 巻第四 782番

風高く 邊には吹けども

紀女郎(きのいらつめ)

風が高く岸辺に吹いていたけれど、あなたのために袖までぬらして刈った玉藻ですよ。贈り物に添えた紀女郎の歌。

風の強い磯辺で、女性が袖をぬらしながら玉藻を刈っている

題詞紀女郎、物を裹みて友に贈れる歌一首(女郎名を小鹿といへり)

  1. 1風かぜ風かぜかぜ高たか高たかたかくくく風高
  2. 2邊へ邊へへにににははは吹ふ吹ふふけけけどもどもども邊者雖吹
  3. 3妹いも妹いもいもがががためためため爲妹
  4. 4袖そで袖そでそでさへさへさへぬれぬれぬれててて袖左倍所沾而
  5. 5刈か刈かかれれれるるる玉たま玉たまたま藻も藻ももぞぞぞ刈流玉藻焉

引用の仕方

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現代語訳

風が強く岸辺に吹いていたけれど、あなたのために、袖までもぬらして刈った玉藻ですよ。

意訳

紀女郎は、包んだ玉藻(海藻)を友人に贈り、この歌を添えた。風の強い中、袖までぬらしてあなたのために刈ったのですよと、贈り物にこめた心づかいを伝えている。

語釈・文法注

文法・本文

妹
女性どうしで相手を親しんで呼ぶ語。

和歌

作者
紀女郎(生没年未詳)
紀鹿人の娘で、名は小鹿。安貴王の妻であったが、のちに大伴家持と歌を交わした。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・782番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
紀女郎が、物を包んで友に贈ったときの歌。

解説

625番の高安王の鮒の歌と同じく、贈り物に添えた歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、182頁(コマ95)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、195頁(コマ103)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日