古典ライブラリー

万葉集 巻第三 462番

今よりは 秋風寒く

大伴家持(おおとものやかもち)

これからは秋風が寒く吹くだろうに、どうやってひとりで長い夜を寝ようか。若くして妾を亡くした大伴家持の挽歌。

夏の終わりの夜、灯火の消えかけた部屋で、若い貴公子がひとり膝を抱えている

題詞十一年己卯夏六月、大伴宿禰家持、亡妾を悲傷して作れる歌一首

  1. 1今いま今いまいまよりよりよりははは從今者
  2. 2秋あき秋あきあき風かぜ風かぜかぜ寒さむ寒さむさむくくく秋風寒
  3. 3吹ふ吹ふふきききなむなむなんををを將吹烏
  4. 4いかにいかにいかにかかか獨ひとり獨ひとりひとり如何獨
  5. 5長なが長ながながききき夜よ夜よよををを宿ね宿ねねむむむ長夜乎將宿

引用の仕方

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現代語訳

これからは秋風が寒く吹くだろうに、どうやってひとりで長い夜を寝ようか。

意訳

天平11年(739)6月、二十代前半の家持は、愛する妾(妻の一人)を亡くした。夏が終わり、これから秋風の寒い長い夜が来るのに、ひとりでどう寝ればいいのかと嘆いている。

語釈・文法注

文法・本文

吹きなむを
「なむ」は強い推量。きっと吹くだろうに。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。
出典
『万葉集』巻第三・挽歌・462番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
天平11年(739)6月、大伴家持が亡くなった妾を悲しんで詠んだ歌。

解説

家持が亡妾を悼んだ歌は、462〜474番に続く。若い家持の、季節の移ろいに敏感な感性がすでに表れている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、125頁(コマ66)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、128頁(コマ70)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日