古典ライブラリー

万葉集 巻第三 402番

山主は

大伴駿河麻呂(おおとものするがまろ)

山の主がもしいたとしても、あなたが結んだしるしを、人が解いたりするでしょうか。401番の坂上郎女の歌に、駿河麻呂がすぐさま答えた歌。

宴の席で、若い男が杯を掲げ、年配の女性に向かって朗らかに答えている

題詞大伴宿禰駿河麻呂、卽ち和ふる歌一首

  1. 1山やま山やまやま主ぬし主ぬしぬしははは山主者
  2. 2蓋けだ蓋けだけだしししありありありともともとも蓋雖有
  3. 3吾わぎ吾わぎわぎ妹も妹もも子こ子ここががが吾妹子之
  4. 4結ゆ結ゆゆひひいけむけむけん標しめ標しめしめををを將結標乎
  5. 5人ひと人ひとひと解と解ととかかかめめめやもやもやも人將解八方

引用の仕方

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現代語訳

山の主がもしいたとしても、あなたが結んだしるしを、人が解いたりするでしょうか。

意訳

坂上郎女が、山守がいたのを知らずにしるしを結んで恥をかいたと戯れたのに対し、駿河麻呂は、たとえ山の主がいたとしても、あなたが結んだしるしを解く人などいるはずがありませんと答える。郎女のすすめた縁談を、自分は決して裏切らないと請け合った歌と考えられる。

語釈・文法注

文法・本文

蓋しありとも
もしかしてあったとしても。
解かめやも
反語。解くだろうか、解きはしない。

和歌

作者
大伴駿河麻呂(?–776)
大伴御行の孫。陸奥按察使・鎮守将軍などを務めた。叔母の坂上郎女の娘、坂上二嬢を妻とした。
出典
『万葉集』巻第三・譬喩歌・402番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
401番の大伴坂上郎女の歌に、大伴駿河麻呂がすぐに答えた歌。

修辞

譬喩
401番の山と標のたとえをそのまま受ける。

解説

駿河麻呂は、のちに坂上郎女の娘の坂上二嬢を妻とした。この贈答は、その縁談にかかわるものとみる説がある。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、115頁(コマ61)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、117頁(コマ64)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日