古典ライブラリー

万葉集 巻第三 400番

梅の花 咲きて散りぬと

大伴駿河麻呂(おおとものするがまろ)

梅の花が咲いて散ってしまったと人は言うけれど、それは私がしるしを結んでおいた枝のことではあるまい。思う人が心変わりしたという噂を打ち消す歌。

花の散った梅の木々の中に、一本だけ白い縄を結んだ枝があり、まだ花が咲いている

題詞大伴宿禰駿河麻呂の梅の歌一首

  1. 1梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな梅花
  2. 2咲さ咲ささきききててて散ち散ちちりりりぬぬぬととと開而落去登
  3. 3人ひと人ひとひとははは云い云いいへへえどどど人者雖云
  4. 4吾わ吾わわががが標しめ標しめしめ結ゆ結ゆゆひひいししし吾標結之
  5. 5枝えだ枝えだえだならならならめめめやもやもやも枝將有八方

引用の仕方

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現代語訳

梅の花が咲いて散ってしまったと人は言うけれど、それは私がしるしを結んでおいた枝であろうか、そうではあるまい。

意訳

梅の花が散ったという噂は、思う人がほかの男のものになったという噂のたとえである。駿河麻呂は、それは自分がしるしを結んでおいた枝のことではないはずだと、噂を打ち消し、相手への信頼を歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

枝ならめやも
「めやも」は反語。その枝であろうか、いやそうではない。

和歌

作者
大伴駿河麻呂(?–776)
大伴御行の孫。陸奥按察使・鎮守将軍などを務めた。叔母の坂上郎女の娘、坂上二嬢を妻とした。
出典
『万葉集』巻第三・譬喩歌・400番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴駿河麻呂が、梅を詠んだ譬喩歌。

修辞

譬喩
梅の花に恋人をたとえ、「標結ふ」に自分のものと決めることを重ねる。

解説

次の401番の坂上郎女の歌、402番の駿河麻呂の答えと続き、大伴一族の中での縁談をめぐるやりとりと考えられている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、114頁(コマ61)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、116頁(コマ64)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日