古典ライブラリー

万葉集 巻第三 356番

今日もかも

上古麻呂(かみのふるまろ)

今日もまた、明日香川では夕方になるたびに河鹿の鳴く瀬が清らかであることだろう。旧都明日香の川をなつかしむ歌。

夕暮れの明日香川の浅瀬で、河鹿が澄んだ声で鳴き、川面が夕日に光っている

題詞上古麻呂の歌一首

  1. 1今日けふ今日けふきょうもももかもかもかも今日可聞
  2. 2明日香あすか明日香あすかあすかののの河かは河かはかはののの明日香河乃
  3. 3夕ゆふ夕ゆふゆうさらさらさらずずず夕不離
  4. 4蝦かはづ蝦かはづかわずなくなくなく瀨せ瀨せせののの川津鳴瀨之
  5. 5清さや清さやさやけかるけかるけかるらむらむらん清有良武

引用の仕方

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現代語訳

今日もまた、明日香川では、夕方ごとに河鹿の鳴く瀬が清らかであることだろう。

意訳

都が奈良に移った後、作者は旧都明日香を流れる川を思い出している。今日もきっと、夕方になると河鹿が澄んだ声で鳴き、瀬音が清らかに響いているだろうと、遠くからなつかしむ歌である。

語釈・文法注

文法・本文

夕さらず
夕方ごとに、夕方を欠かさず。

和歌

作者
上古麻呂(生没年未詳)
伝未詳。
出典
『万葉集』巻第三・雑歌・356番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
上古麻呂の歌。都が奈良に移った後、旧都明日香をしのんで詠んだとみられる。

解説

324番の赤人の歌にも「夕霧に蝦はさわぐ」とあり、明日香川の河鹿の声は旧都をしのぶ景物として好まれた。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、107頁(コマ57)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、108頁(コマ60)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日