古今和歌集 巻第三 夏歌 168番
夏と秋と
去っていく夏と、やって来る秋とが、行き違う空の通い路では、片側だけに涼しい風が吹いているのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕六月の末日に詠んだ歌。
去っていく夏と、やって来る秋とが、行き違う空の通い路では、片側だけに涼しい風が吹いているのだろうか。
意訳
夏の最後の日、空の道では夏と秋がすれ違い、秋の来る側だけに涼しい風が吹いているのだろう、と季節の交代を空間的に想像した。
語釈・文法注
- みな月のつごもり
- 六月の末日。夏の終わりの日。
- かよひぢ
- 通う道。
- かたへ
- 片側。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第三・夏歌・168番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「みな月のつごもりの日よめる」(六月の末日に詠んだ歌)。
修辞
- 擬人法
- 夏と秋を行き交う旅人に見立てる。
解説
夏歌の最後の歌。躬恒の機知が冴える一首で、次から秋の歌が始まる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、30頁(コマ28)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日