古今和歌集 巻第四 秋歌上 169番
秋來ぬと
秋が来たと、目にははっきりとは見えないけれど、風の音によって、はっと気づかされたことだ。

現代語訳
〔詞書〕立秋の日に詠んだ歌。
秋が来たと、目にははっきりとは見えないけれど、風の音によって、はっと気づかされたことだ。
意訳
立秋の日、景色はまだ夏のままだが、吹く風の音にふと秋の訪れを感じとる。視覚ではなく聴覚でとらえた季節の変化。
語釈・文法注
- さやかに
- はっきりと。
- おどろかれぬる
- 「おどろく」ははっと気づく。「れ」は自発。
和歌
- 作者
- 藤原敏行(ふじわらのとしゆき) ?–901?
藤原富士麻呂の子。蔵人頭・右兵衛督などを務めた。能書家としても名高く、神護寺の鐘の銘を書いたと伝える。妻は紀有常の娘で、業平とは相婿にあたる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第四・秋歌上・169番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「秋立つ日よめる」(立秋の日に詠んだ歌)。
解説
秋歌上の巻頭歌。藤原敏行の代表作で、風に秋を知るという感覚はその後の秋の歌の基本となった。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、31頁(コマ29)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日