古今和歌集 巻第三 夏歌 161番
郭公
ほととぎすの声も聞こえない。山びこは、よそで鳴いている声を、ここへ答え返してくれないのか。

現代語訳
〔詞書〕殿上の詰め所で男たちが酒を飲んでいた時に、召し出されて「ほととぎすを待つ歌を詠め」とあったので詠んだ歌。
ほととぎすの声も聞こえない。山びこは、よそで鳴いている声を、ここへ答え返してくれないのか。
意訳
ほととぎすの声が聞こえないので、せめて山びこが、よそで鳴く声をこだまとして運んできてくれないかと願う。
語釈・文法注
- さぶらひ
- 殿上の侍所。
- こたへやはせぬ
- 「やは」は反語で、願望を表す。答え返してくれないのか。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第三・夏歌・161番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「さぶらひにてをのこどもの酒たうべけるに召して郭公まつ歌よめとありければよめる」(殿上の詰め所で男たちが酒を飲んでいた時に、召し出されて「ほととぎすを待つ歌を詠め」とあったので詠んだ歌)。
解説
宴席で即興に詠まれた躬恒の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、29頁(コマ28)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日