古今和歌集 巻第三 夏歌 144番
いそのかみ
石上の古い都のほととぎすは、その声だけが昔のままであったことだ。

現代語訳
〔詞書〕奈良の石上寺で、ほととぎすが鳴くのを詠んだ歌。
石上の古い都のほととぎすは、その声だけが昔のままであったことだ。
意訳
寂れた古い都で、ほととぎすの声だけは昔と変わらない。旧都の荒廃と、変わらぬ鳥の声との対比を詠む。
語釈・文法注
- いそのかみ
- 大和国の地名。「ふる」にかかる枕詞にもなる。
- 石の上寺
- 石上神宮の近くにあった寺。
- 昔なりけれ
- 昔のままであった。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第三・夏歌・144番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「奈良の石の上寺にて郭公の鳴くをよめる」(奈良の石上寺で、ほととぎすが鳴くのを詠んだ歌)。
修辞
- 枕詞
- 「いそのかみ」が「ふる」にかかる。
解説
素性法師は石上の良因院に住んだ。旧都をしのぶ思いが深い。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、26頁(コマ26)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日