古今和歌集 巻第二 春歌下 120番
我が宿に
私の家に咲いている藤の花を、人々は立ち返って、通り過ぎかねるようにばかり見ているのだろう。

現代語訳
〔詞書〕家に藤の花が咲いていたのを、人が立ち止まって見ていたのを詠んだ歌。
私の家に咲いている藤の花を、人々は立ち返って、通り過ぎかねるようにばかり見ているのだろう。
意訳
家の藤の花房が波のように揺れる美しさに、道行く人が何度も振り返って立ち去りがたく眺めていく。
語釈・文法注
- 藤波
- 藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語。
- たちかへり
- 波が寄せ返すように、繰り返し。
- 過ぎがてに
- 通り過ぎかねて。
和歌
- 作者
- 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 生没年未詳(九世紀末〜十世紀前半)
『古今和歌集』の撰者の一人。甲斐少目・和泉大掾など地方の下級官人を務めたが、歌才は宇多・醍醐両天皇に重んじられ、屏風歌や歌合で活躍した。貫之と並ぶ歌人とされる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・120番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「家に藤の花さけりけるを人の立ちとまりて見けるをよめる」(家に藤の花が咲いていたのを、人が立ち止まって見ていたのを詠んだ歌)。
修辞
- 縁語
- 「藤波」「たちかへり」。
解説
躬恒の歌。ここから晩春の花、藤と山吹の歌が続く。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、21〜22頁(コマ24)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日