古今和歌集 巻第二 春歌下 119番
よそに見て
遠くから見るだけで帰ってしまう人に、藤の花よ、まつわりついて引きとめよ。たとえ枝が折れても。

現代語訳
〔詞書〕志賀から帰る女性たちが、花山(元慶寺)に入って藤の花の下に立ち寄って帰ったので、詠んで送った歌。
遠くから見るだけで帰ってしまう人に、藤の花よ、まつわりついて引きとめよ。たとえ枝が折れても。
意訳
寺に立ち寄りながらすぐ帰っていく女性たちを惜しみ、藤のつるに、まとわりついて引きとめよと呼びかける。
語釈・文法注
- 花山
- 遍昭が住んだ元慶寺のある所。
- はひまつはれよ
- つるが這いまつわれ。
- 枝は折るとも
- 枝が折れても。
和歌
- 作者
- 僧正遍昭(そうじょうへんじょう) 816–890
桓武天皇の孫で、俗名は良岑宗貞(よしみねのむねさだ)。仁明天皇に仕えて蔵人頭となったが、天皇の崩御を機に出家し、のちに僧正となって元慶寺・花山寺を開いた。素性法師の父。六歌仙・三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・119番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「志賀より歸りける女どもの花山に入りて藤の花の下に立ちよりて歸りけるに詠みて送りける」(志賀から帰る女性たちが、花山(元慶寺)に入って藤の花の下に立ち寄って帰ったので、詠んで送った歌)。
修辞
- 擬人法
- 藤に呼びかける。
解説
僧正遍昭の歌。僧でありながら女性の帰りを惜しむ、遍昭らしいおどけた歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、21頁(コマ24)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日