古今和歌集 巻第二 春歌下 114番
をしと思ふ
花を惜しいと思う私の心が、糸に縒られてほしい。そうすれば散る花の一つ一つに糸を通して、とどめておこう。

現代語訳
〔詞書〕仁和の中将の御息所の家で歌合をしようとした時に詠んだ歌。
花を惜しいと思う私の心が、糸に縒られてほしい。そうすれば散る花の一つ一つに糸を通して、とどめておこう。
意訳
惜しむ心を糸にして、散る花びらを玉のように貫いてつなぎとめたい、と散る花を惜しむ気持ちを奇抜な比喩で表す。
語釈・文法注
- よられなむ
- 「れ」は可能・受身、「なむ」は願望。縒られてほしい。
- ぬきて
- 糸に通して。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・114番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「仁和の中將のみやすん所の家に歌合せむとてしける時によめる」(仁和の中将の御息所の家で歌合をしようとした時に詠んだ歌)。
修辞
- 見立て
- 心を糸に、花びらを玉に見立てる。
解説
素性法師の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、20頁(コマ23)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日