古今和歌集 巻第二 春歌下 109番
木傳へば
枝から枝へ飛び移るので、自分の羽風で散る花なのに、それを誰のせいにして、こんなにたくさん鳴いているのだろう。

現代語訳
〔詞書〕鶯が鳴くのを詠んだ歌。
枝から枝へ飛び移るので、自分の羽風で散る花なのに、それを誰のせいにして、こんなにたくさん鳴いているのだろう。
意訳
花を散らしているのは、枝を伝い歩く鶯自身の羽風なのに、鶯は誰かのせいにして鳴いている、と鶯をからかう。
語釈・文法注
- 木づたへば
- 木から木へ伝い移るので。
- おほせて
- 責任を負わせて、かこつけて。
- ここら
- たくさん、ひどく。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・109番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「鶯の鳴くをよめる」(鶯が鳴くのを詠んだ歌)。
解説
素性法師の歌。鶯の鳴き声を「恨みごと」と見る発想がおもしろい。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、19頁(コマ23)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日