古今和歌集 巻第二 春歌下 95番
いざけふは
さあ今日は、春の山辺に分け入っていこう。日が暮れたなら、花の陰は宿としないわけがあろうか。

現代語訳
〔詞書〕雲林院の親王のもとへ、花見に北山のあたりに出かけた時に詠んだ歌。
さあ今日は、春の山辺に分け入っていこう。日が暮れたなら、花の陰は宿としないわけがあろうか。
意訳
花見の一日を思い切り楽しもう。日が暮れても、花の木陰を宿にすればよい、と親王を誘う。
語釈・文法注
- 雲林院の皇子
- 常康親王。出家して雲林院に住んだ。
- まじりなむ
- 分け入ってしまおう。
- なげの
- かりそめの、いいかげんな。
- 花の蔭かは
- 「かは」は反語。花の陰がかりそめの宿であろうか。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・95番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「雲林院の皇子のもとに花見に北山のほとりにまかれりける時によめる」(雲林院の親王のもとへ、花見に北山のあたりに出かけた時に詠んだ歌)。
修辞
- 反語
- 「なげの花の蔭かは」。
解説
素性法師の歌。花見の楽しさをのびやかに歌う。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ22)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日