古今和歌集 巻第二 春歌下 93番
春の色の
春の気配が届く里と届かない里があるわけではあるまい。それなのに、どうして咲いている花と咲いていない花とが見えるのだろう。

現代語訳
春の気配が届く里と届かない里があるわけではあるまい。それなのに、どうして咲いている花と咲いていない花とが見えるのだろう。
意訳
春はどこにも等しく来るはずなのに、なぜ咲く花と咲かない花があるのか、と疑問を投げかける。
語釈・文法注
- 春の色
- 春の気配、春の様子。
- 至り至らぬ
- 届く、届かない。
- 見ゆらむ
- 「らむ」は原因推量。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・93番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 対句
- 「至り至らぬ」「咲ける咲かざる」。
解説
理屈で自然の不思議をとらえる、古今集らしい問いかけの歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ22)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日