古今和歌集 巻第二 春歌下 88番
はるさめの
春雨が降るのは涙なのだろうか。桜の花が散るのを惜しまない人はいないのだから。

現代語訳
春雨が降るのは涙なのだろうか。桜の花が散るのを惜しまない人はいないのだから。
意訳
春雨を、桜が散るのを惜しむ人々の涙かと見る。誰もが花を惜しむという共感を、雨に託した。
語釈・文法注
- ふるは涙か
- 降るのは涙か。
- 人しなければ
- 「し」は強意。人はいないので。
和歌
- 作者
- 大伴黒主(おおとものくろぬし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
近江の人と伝える。仮名序は「そのさまいやし、いはば薪を負へる山人の、花の陰にやすめるが如し」と評する。六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・88番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 見立て
- 春雨を涙に見立てる。
解説
六歌仙の一人、大伴黒主の歌。古今集には黒主の歌が三首ある。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ21)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日