古今和歌集 巻第二 春歌下 84番
久かたの
日の光がのどかな春の日に、どうして落ち着いた心もなく、花は散るのだろう。

現代語訳
〔詞書〕桜の花が散るのを詠んだ歌。
日の光がのどかな春の日に、どうして落ち着いた心もなく、花は散るのだろう。
意訳
うららかな春の日に、桜だけがあわただしく散っていく。のどかな光と散り急ぐ花との対比に、花を惜しむ心がこもる。
語釈・文法注
- ひさかたの
- 「光」にかかる枕詞。
- のどけき
- のどかな。
- しづ心なく
- 落ち着いた心がなく。
- ちるらむ
- 「らむ」は原因推量。どうして散るのだろう。
和歌
- 作者
- 紀友則(きのとものり) ?–905?
『古今和歌集』の撰者の一人で、紀貫之の従兄。大内記などを務めたが、集の完成を待たずに亡くなり、巻第十六に貫之・壬生忠岑の哀悼の歌がある。のびやかで格調のある歌風で知られる。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・84番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「さくらの花のちるをよめる」(桜の花が散るのを詠んだ歌)。
修辞
- 枕詞
- 「ひさかたの」。
- 対比
- のどかな日の光と散り急ぐ花。
解説
百人一首第三十三首にも採られた紀友則の代表作。音の流れの美しさでも名高い。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、15〜16頁(コマ21)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日