古今和歌集 巻第二 春歌下 76番
花ちらす
花を散らす風の宿る所を、誰か知っているか。私に教えてくれ。行って恨み言を言おう。

現代語訳
〔詞書〕桜の花が散りましたのを見て詠んだ歌。
花を散らす風の宿る所を、誰か知っているか。私に教えてくれ。行って恨み言を言おう。
意訳
花を散らす風に腹を立て、その風の住みかを探して文句を言いに行こうという。風を人のように扱った機知の歌。
語釈・文法注
- やどり
- 宿る所。
- 恨みむ
- 恨み言を言おう。
和歌
- 作者
- 素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・76番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「櫻の花の散り侍りけるを見て詠みける」(桜の花が散りましたのを見て詠んだ歌)。
修辞
- 擬人法
- 風を人に見立てる。
解説
素性法師の歌。花を惜しむあまり風を責める発想は、古今集で好まれた。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、14頁(コマ20)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日