源氏物語 第39帖 夕霧(51)
夕霧の子どもたち
昔、夕霧と雲居の雁の仲が裂かれていた間には、この藤典侍こそを人知れず思う人として心にとめていたが、雲居の雁と結ばれてからは、たいそうまれにしか通わず冷淡になっていったが、それでも子どもは大勢になった。雲居の雁の腹には太郎君、三郎君、四郎君、六郎君、大君、中の君、四の君、五の君がいる。典侍の腹には三の君、六の君、次郎君、五郎君がいた。合わせて十二人の中に、劣った子はなく、たいそうかわいらしく、それぞれに成長していた。典侍腹の子どもたちこそ、容貌が美しく、心ばえに才気があって、皆すぐれていた。三の君と次郎君は、六条院の東の御殿(花散里)で特に大切に育てている。源氏も見慣れて、たいそうかわいがる。この夫婦の仲のことは、言いようもないということだ。

- 1このこのこの昔昔むかし御御おん中中なかだえだえだえののの程程ほどにににははは、、、このこのこのないないないしししのののすけすけすけこそこそこそ人人ひとしれしれしれぬぬぬものものものににに思思おもひひいとめとめとめ給給たまへへえりりりしかしかしかどどど、、、ことことことあらためあらためあらためててて後後のちはははいといといとたまさかたまさかたまさかにににつれなくつれなくつれなくなりなりなりまさりまさりまさり給給たまひひいつゝつゝつつ、、、さすがさすがさすがににに君君きん達達だちははは數數あま多多たににになりなりなりにににけりけりけり。。。このこのこの御御おん腹腹はらにににははは、、、太太た郞郞ろう君君ぎみ、、、三三さぶ郞郞ろう君君ぎみ、、、四四し郞郞ろう君君ぎみ、、、六六ろく郞郞ろう君君ぎみ、、、おほいおほいおおい君君ぎみ、、、中中なかののの君君きみ、、、四四しののの君君きみ、、、五五ごののの君君きみとととおはすおはすおわす。。。內內ない侍侍しははは、、、三三さむののの君君きみ、、、六六ろくののの君君きみ、、、次次じ郞郞ろう君君ぎみ、、、五五ご郞郞ろう君君ぎみとととぞぞぞおはしおはしおわしけるけるける。。。すべてすべてすべて十十じゅう二二に人人にんががが中中なかにににかたほかたほかたほなるなるなるなくなくなくいといといとをかしげをかしげおかしげにににとりどりとりどりとりどりにににおひおひおい出出いででで給給たまひひいけるけるける。。。內內ない侍侍し腹腹ばらののの君君きん達達だちしもしもしもなむなむなんかたちかたちかたちをかしうをかしうおかしゅう心心こころばせばせばせかどかどかどありありありててて皆皆みなすぐれすぐれすぐれたりたりたりけるけるける。。。三三さむののの君君きみ、、、二二じ郞郞ろう君君ぎみははは、、、ひんがしひんがしひんがしのののおとゞおとゞおとどにににぞぞぞとりわきとりわきとりわきてててかしづきかしづきかしずき奉奉たてまつりりり給給たまふふう。。。院院いんももも見見みなれなれなれたまひたまひたまいててていといといとらうたくらうたくろうたくししし給給たまふふう。。。このこのこの御御おんなからひなからひなからいのののことことこといひいひいいやるやるやるかたかたかたなくなくなくとととぞぞぞ。。。
現代語訳
この昔、雲居の雁とのお仲が裂かれていた間には、この典侍(藤典侍)こそを、人知れず思う人として心にとめていらっしゃったが、雲居の雁と結ばれて事が改まってから後は、たいそうまれにしか通わず、冷淡になっていかれながらも、それでも子どもたちは大勢になったのであった。この雲居の雁のお腹には、太郎君、三郎君、四郎君、六郎君、大君、中の君、四の君、五の君がいらっしゃる。典侍の腹には、三の君、六の君、次郎君、五郎君がいらっしゃった。合わせて十二人の中に、劣った子はなく、たいそうかわいらしく、それぞれに成長していらっしゃった。典侍腹の子どもたちこそ、容貌が美しく、心ばえに才気があって、皆すぐれていた。三の君と次郎君は、東の御殿(花散里)で、特に大切にお育て申し上げていらっしゃる。院(源氏)も見慣れなさって、たいそうかわいがっていらっしゃる。このご夫婦の仲のことは、言いようもないということだ。
意訳
夕霧には雲居の雁と藤典侍との間に十二人の子があり、典侍腹の子は特にすぐれ、花散里と源氏にかわいがられている。
語釈・文法注
文法
- 「御中だえ」(この昔御中だえの程には)
- 仲が絶えること。夕霧と雲居の雁が父大臣に仲を裂かれていた時期。
- 「かたほ」(かたほなるなく)
- 劣っていること、不完全なこと。
- 「とぞ」(この御なからひのこといひやるかたなくとぞ)
- 「…ということだ」と伝聞の形で結ぶ語り手の言葉。
解説
夕霧の巻は、夕霧の十二人の子どもたちの紹介で結ばれる。雲居の雁と藤典侍の子どもたちが、それぞれに美しく成長している。夕霧の家庭は、恋の騒動を経ても、なお続いていく。
巻末の「いひやるかたなくとぞ」は、夕霧と雲居の雁、そして落葉の宮の三角関係の結末を語らずに閉じる。物語は、次の御法の巻で、紫の上の死へと向かっていく。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、810–811頁(コマ116)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日