源氏物語 第31帖 真木柱(1)
髭黒、玉鬘を得る
女房の弁のおもとの手引きで、髭黒の大将は玉鬘と結ばれる。源氏は帝の耳に入ることを恐れて口止めするが、髭黒は喜びを隠しきれない。玉鬘は思いがけないつらい運命だと沈み込み、髭黒は、石山の仏も弁のおもとも並べて拝みたいほどうれしく思う。源氏は残念に思いながらも、今さら反対しても仕方がないと、婚儀を盛大に整える。髭黒は玉鬘を早く自邸に迎えたいと急ぐが、源氏は北の方への配慮を口実に、ゆっくりと穏やかに事を運ぶよう諭す。実父の内大臣は、宮仕えよりもかえって安心だと思い、源氏の心遣いに感謝する。

- 1「「「內內うちににに聞聞きこしめさしめさしめさむむんことことこともももかしこしかしこしかしこし。。。暫暫しばししし人人ひとにににあまねくあまねくあまねく漏漏もらさささじじじ」」」ととと諫諫いさめめめ聞聞きこえええ給給たまへへえどどどさしもさしもさしもえええつゝみつゝみつつみあへあへあえ給給たまははわずずず。。。程程ほどふれふれふれどどどいさゝかいさゝかいささかうちとけうちとけうちとけたるたるたる御御おん氣色氣色けしきもももなくなくなく、、、思思おもははわずずずにににうきうきうき宿宿すく世世せなりなりなりけりけりけりととと思思おもひひい入入いりりり給給たまへへえるるるさまさまさまのののたゆみたゆみたゆみなきなきなきをををいみじういみじういみじゅうつらしつらしつらしととと思思おもへへえどどど、、、おぼろげおぼろげおぼろげならならならぬぬぬ契契ちぎりののの程程ほど哀哀あわれにににうれしくうれしくうれしく思思おもひひい見見みるるるまゝまゝままににに、、、めでたくめでたくめでたく思思おもふふうさまさまさまなるなるなる御御おんかたちかたちかたちありさまありさまありさまをををよそよそよそのののものものものににに見見みはてはてはてゝゝて止止やみみみなななましましましよよよととと思思おもふふうだにだにだに胸胸むねつぶれつぶれつぶれててて、、、石石いしののの佛佛ほとけをををももも辨辨べんのののおもとおもとおもとをををもももならべならべならべててていたゞかいたゞかいただかまほしくまほしくまほしく思思おもへへえどどど、、、女君女君おんなぎみののの深深ふかくくくものしものしものしとととおぼしおぼしおぼし踈踈うとみみみにににけれけれければばばえええ交交まじらはらはらわででで籠籠こもりりりゐゐいにににけりけりけり。。。
- 2げにげにげにそこらそこらそこら心心こころ苦苦ぐるしげしげしげなるなるなる事事ことどもどもどもをををとりどりとりどりとりどりににに見見みしかしかしかどどど心心こころ淺淺あさききき人人ひとのののためためためにににぞぞぞ寺寺てらのののげんげんげんももも顯顯あらわれれれけむけむけん。。。おとゞおとゞおとどももも心心こころゆかゆかゆかずずず口口くち惜惜おしうしうしゅうおぼせおぼせおぼせどどど、、、いふいふいうかひかひかいなきなきなきことことことにてにてにて誰誰たれももも誰誰たれもももかくかくかく許許ゆるしししそめそめそめ給給たまへへえるるることことことなれなれなればばば、、、引引ひききき返返かえししし許許ゆるさささぬぬぬ氣色氣色けしきををを見見みせせせむむんももも人人ひとのののためためためいとほしういとほしういとおしゅうあいなしあいなしあいなしとととおぼしおぼしおぼしててて、、、儀式儀式ぎしきいといといとににになくなくなくもてかしづきもてかしづきもてかしずき給給たまふふう。。。
- 3いつしかいつしかいつしかとととわがわがわが殿殿とのににに渡渡わたししし奉奉たてまつらららむむんことことことををを思思おもひひい急急いそぎぎぎ給給たまへへえどどど、、、かるがるしくかるがるしくかるがるしくふとふとふとうちとけうちとけうちとけ渡渡わたりりり給給たまははわむむんにににかしこかしこかしこにににまちまちまちとりとりとりてててよくよくよくしもしもしも思思おもふふうまじきまじきまじき人人ひとのののものしものしものし給給たまふふうなるなるなるがががいとほしさいとほしさいとおしさにににことつけことつけことつけ給給たまひひいててて「「「猶猶なお心心こころのどかのどかのどかににになだらかなだらかなだらかなるなるなるさまさまさまにてにてにておとおとおとなくなくなく、、、いづいづいず方方かたにににももも人人ひとのののそしりそしりそしり恨恨うらみなかるなかるなかるべくべくべくをををもてなしもてなしもてなし給給たまへへえ」」」とととぞぞぞ聞聞きこえええ給給たまふふう。。。
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現代語訳
源氏が「帝のお耳に入るのも恐れ多い。しばらくは人に広く漏らすまい」とお諫め申し上げなさるけれど、大将(髭黒)はそれほど隠しきれなさらない。時がたっても、玉鬘は少しも打ち解けたご様子もなく、思いがけないつらい運命であったと思い沈んでいらっしゃる様子が絶えないのを、大将はたいそうつらいと思うけれど、並々でない縁の深さをしみじみとうれしく思うにつけても、すばらしく理想どおりのご容貌やご様子を、他人のものとして見るだけで終わってしまったらと思うだけでも胸がつぶれて、石山の仏も弁のおもとも並べて拝みたいほどに思うけれど、女君(玉鬘)が弁のおもとをひどく不快にお思いになって疎んじなさったので、弁のおもとは出仕もできずに、引きこもってしまった。
本当に、多くの人の気の毒な恋の悩みをさまざまに見てきたけれど、思慮の浅い人のためにこそ、寺のご利益も現れたのであろう。大臣(源氏)も気に入らず、残念にお思いになるけれど、言っても仕方のないことで、誰も誰もこのように許してしまったことなので、手のひらを返して許さない様子を見せるのも、人のために気の毒でつまらないとお思いになって、儀式をまたとないほど立派に整えて大切になさる。
大将は、早く自分の邸にお移し申し上げようと準備を急いでいらっしゃるけれど、源氏は、軽々しく急に打ち解けてお移りになると、あちらで待ち受けて快く思わないはずの方(北の方)がいらっしゃるそうなのが気の毒だと口実にして、「やはり心のどかに、穏やかな様子で、騒ぎ立てずに、どちらにも人の非難や恨みのないように取り計らいなさい」と申し上げなさる。
父大臣(内大臣)は、かえって見苦しくないとお思いのようだ。「特に細やかな後見のない人が、中途半端に色めいた宮仕えに出て、苦労するのではないかと心配だった。帝への気持ちはありながらも、女御(弘徽殿の女御)がこうしていらっしゃるのをさしおいて、どう扱ったらよいものか」などと、ひそかにおっしゃった。本当に、帝と申し上げても、人より軽くお思いになり、ちょっとお目にかかる程度で、重々しくお扱いにならないならば、軽々しいことにもなったであろう。
三日目の夜の御消息などをお交わしになった様子を伝え聞きなさって、内大臣は、この大臣の君(源氏)のお心を、しみじみとありがたく、めったにないことだと思い申し上げなさった。このように内密にしていらっしゃるご夫婦の仲であるけれど、自然と人がおもしろいことのように語り伝えては、次々に聞き漏らして、めったにない世間話としてささやき合った。
意訳
髭黒の大将は玉鬘と結ばれて喜ぶが、玉鬘は思いがけない運命に沈み込む。源氏は残念に思いながらも婚儀を盛大に整え、北の方への配慮から、髭黒に穏やかに事を運ぶよう諭す。
実父の内大臣は、宮仕えよりもかえって安心だと思い、源氏の心遣いに感謝する。
語釈・文法注
- 石山の佛
- 近江の石山寺の本尊、如意輪観音。縁結びや願いをかなえる仏として信仰された。髭黒は石山寺に祈願していたらしい。
文法
- 反実仮想の「なまし」(よそのものに見はてゝ止みなましよ)
- 「他人のものとして見るだけで終わってしまったら」。
- 推量の「けむ」(寺のげんも顯れけむ)
- 過去推量。「寺のご利益も現れたのであろう」。
解説
真木柱の巻は、藤袴の巻の結末から一転して、玉鬘が髭黒のものとなったことから始まる。その経緯は語られず、女房の弁のおもとの手引きがあったことだけがほのめかされる。
「心淺き人のためにぞ寺のげんも顯れけむ」という語り手の皮肉には、源氏や兵部卿宮のような風流な求婚者ではなく、無骨な髭黒が玉鬘を得たことへの意外さが込められている。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、530–533頁(コマ270–271)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日