古典ライブラリー

源氏物語 第27帖 篝火(1)

近江の君の噂と玉鬘

登場人物:光源氏・玉鬘・右近・近江の君

世間で内大臣の新しい姫君(近江の君)が笑い者にされているのを聞いて、源氏は、人目につかないように暮らしていた娘を、いい加減な名乗りで引き取って世間に見せるのは理解できない、内大臣は物事をはっきりさせすぎるので、こうなったのだろうと気の毒がる。玉鬘は、実の親とはいえ、心も知らずにいきなり引き取られていたら恥ずかしいことになっていただろうと、源氏に引き取られてよかったと思う。困った恋心は加わっているが、源氏は無理強いはせず、深い心を示すので、玉鬘はしだいに打ち解けていく。

初秋の六条院の西の対で、玉鬘が右近の話に耳を傾けながら、源氏に引き取られた身の上を思い、穏やかな表情で物思いにふけっている場面(AI生成)
初秋の六条院の西の対で、玉鬘が右近の話に耳を傾けながら、源氏に引き取られた身の上を思い、穏やかな表情で物思いにふけっている場面
  1. 1このこのこのごろごろごろ世よ世よよののの人ひと人ひとひとのののことぐさことぐさことぐさににに、、、「「「內うち內うちうちのののおほいとのおほいとのおおいとのゝゝの今いま今いまいま」」」ととと事こと事ことことににに觸ふ觸ふふれれれつゝつゝつついひいひいいちらすちらすちらすををを、、、源氏げんじ源氏げんじげんじのののおとゞおとゞおとど聞きこ聞きこきこししし召め召めめしししててて、、、
  2. 2「「「ともともともあれあれあれかくかくかくもももあれあれあれ、、、人ひと人ひとひと見み見みみるるるまじくまじくまじくててて籠こも籠こもこもりりり居ゐ居ゐいたらたらたらむむんをんなごをんなごおんなごををを、、、なほざりなほざりなおざりのののかごとかごとかごとにてにてにてもももさばかりさばかりさばかりににに物もの物ものものめかしめかしめかし出い出いいでででゝゝて、、、かくかくかく人ひと人ひとひとににに見み見みみせせせ言い言いいひひい傳つた傳つたつたへへえらるゝらるゝらるるこそこそこそ心こころ心こころこころえええぬぬぬことことことなれなれなれ。。。いといといときはきはしうきはきはしうきわきわしゅう物もの物ものものししし給たま給たまたまふふうあまりあまりあまりににに、、、深ふか深ふかふかききき心こころ心こころこころをををももも尋たづ尋たづたずねねねずずずもてもてもて出い出いいでででゝゝて心こころ心こころこころにににもももかなはかなはかなわねねねばばばかくかくかくはしたなきはしたなきはしたなきなるなるなるべしべしべし。。。萬よろづ萬よろづよろずののの事こと事ことこともてなしもてなしもてなしからからからにににこそこそこそなだらかなだらかなだらかなるなるなるものものものなななめれめれめれ」」」ととといとほしがりいとほしがりいとおしがり給たま給たまたまふふう。。。
  3. 3かゝるかゝるかかるにににつけつけつけてててもももげにげにげによくよくよくこそこそこそととと、、、親おや親おやおやととと聞きこ聞きこきこえええながらながらながらももも年とし年としとし頃ごろ頃ごろごろののの御心みこころ御心みこころみこころををを知し知ししりりり聞きこ聞きこきこえええずずず馴な馴ななれれれ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららましかましかましかばばばはぢがましきはぢがましきはじがましきことことことやややあらあらあらましましましととと、、、對たい對たいたいののの姫君ひめぎみ姫君ひめぎみひめぎみおぼしおぼしおぼし知し知ししるるるををを、、、右近うこん右近うこんうこんもももいといといとよくよくよく聞きこ聞きこきこえええ知し知ししらせらせらせけりけりけり
  4. 4にくきにくきにくき御心みこころ御心みこころみこころこそこそこそそひそひそいたれたれたれどどどさりとてさりとてさりとて御心みこころ御心みこころみこころのののまゝまゝままにににおしおしおしたちたちたちてててなどなどなどももももてもてもてなしなしなし給たま給たまたまははわずずず、、、いとゞいとゞいとど深ふか深ふかふかききき御心みこころ御心みこころみこころのみのみのみまさりまさりまさり給たま給たまたまへへえばばば、、、やうやうやうやうようよう懷なつか懷なつかなつかしうしうしゅう打う打ううちちち解と解ととけけけ聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

このごろ、世間の人の話の種に、「内大臣の新しい姫君」と、何かにつけて言い散らしているのを、源氏の大臣はお聞きになって、

「ともかくも、人に見られないように引きこもっていたような娘を、いい加減な名乗りであっても、あれほど仰々しく引き取って、このように人に見せ、言い伝えられるのは、理解できないことだ。たいそう物事をはっきりさせなさるあまりに、深い事情も確かめずに引っ張り出して、心にもかなわないので、このように体裁の悪いことになっているのだろう。何事も、扱い方しだいで穏やかになるもののようだ」と気の毒がりなさる。

このようなことにつけても、本当によくぞと、親と申し上げながらも、長年のお心も知らずに、いきなりなじみ申し上げていたら、恥ずかしいことになっていただろうかと、対の姫君(玉鬘)はおわかりになるが、右近もたいそうよく事情を申し上げて聞かせていた。

困ったお心こそ加わっているけれど、そうかといって、お心のままに無理強いなどもなさらず、いっそう深いお心ばかりがまさっていらっしゃるので、しだいに親しみを感じて打ち解け申し上げなさる。

意訳

世間で近江の君が笑い者にされているのを聞いて、源氏は、内大臣の軽率さを批判し、気の毒がる。

玉鬘は、実の親のもとに心も知らずに引き取られていたら恥ずかしいことになっていただろうと、源氏に引き取られてよかったと思う。源氏は恋心を抱きながらも無理強いはせず、玉鬘はしだいに打ち解けていく。

語釈・文法注

今姫君
新しく引き取った姫君。ここでは内大臣が引き取った近江の君をさす。常夏の巻で、内大臣は源氏の引き取った玉鬘を「今姫君」と呼んでいた。

文法

反実仮想の「ましかば…まし」(馴れ奉らましかば…あらまし)
「なじみ申し上げていたら、恥ずかしいことになっていただろう」。
推定の「なめれ」(なだらかなるものなめれ)
「穏やかになるもののようだ」。

解説

篝火の巻は、源氏物語の中でもっとも短い巻の一つである。近江の君の騒動を対比として、源氏のもとで大切にされる玉鬘の幸運が描かれる。

源氏が内大臣を「きはきはしう」と批判するのは、帚木の巻以来の頭中将の性格を言い当てている。物事を白黒はっきりさせる内大臣と、事を穏やかに運ぶ源氏との違いが、娘たちの扱いにも表れている。

関連

出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、490–493頁(コマ250–251)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日