新古今和歌集 巻第十八 雑歌下 1786番
みちのくの
陸奥の岩手や信夫ではないが、言わずに心に秘めていることはわからない。書き尽くしてください、壺の碑のように。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕前大僧正慈円が、手紙では思うほどのことも申し尽くしがたいと申してよこしました返事に。
陸奥の岩手や信夫ではないが、言わずに心に秘めていることはわからない。書き尽くしてください、壺の碑のように。
意訳
口に出さずに胸に秘めていることは私にはわかりません。陸奥の壺の碑のように、どうかすべて書き尽くしてください。
語釈・文法注
- いはで
- 「言はで」と陸奥の「岩手」を掛ける。
- しのぶ
- 「忍ぶ」と「信夫」を掛ける。
- えぞ
- 「蝦夷」をかける。
- 壺の碑
- 陸奥の歌枕。
和歌
- 作者
- 源頼朝(みなもとのよりとも) 1147–1199
源義朝の子。平氏を倒して鎌倉幕府を開き、征夷大将軍となった。右近衛大将に任じられたので右大将と呼ばれた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十八・雑歌下・1786番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「前大僧正慈圓、文にては思ふ程の事も申し盡しがたき由申し遣して侍りける返事に」(前大僧正慈円が、手紙では思うほどのことも申し尽くしがたいと申してよこしました返事に)。
修辞
- 掛詞
- 「いはで」「しのぶ」「えぞ」。
- 縁語
- 「みちのく」「いはで」「しのぶ」「えぞ」「壺の碑」。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
頼朝の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、328頁(コマ174)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日