新古今和歌集 巻第十八 雑歌下 1697番
筑紫にも
筑紫にも紫草の生える野辺はあるけれど、無実の名を悲しんでくれる人のことは聞かない。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕「野」を題に。
筑紫にも紫草の生える野辺はあるけれど、無実の名を悲しんでくれる人のことは聞かない。
意訳
筑紫にも紫草の生える野はあるが、ゆかりの人はいない。濡れ衣を着せられた私を気の毒に思ってくれる人の噂も聞こえてこない。
語釈・文法注
- 紫おふる野邊
- 紫草の生える野。紫はゆかり(縁者)を思わせる。
- 無き名
- 根拠のない評判。濡れ衣。
和歌
- 作者
- 菅原道真(すがわらのみちざね) 845–903
学者・政治家。宇多・醍醐天皇に重用されて右大臣に至ったが、藤原時平らの讒言で大宰権帥に左遷され、配所で没した。死後に太政大臣を追贈され、のち天神として祀られた。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第十八・雑歌下・1697番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「野」(「野」を題に)。
解説
道真の歌。「筑紫」と「紫」の字を重ねる。底本は第四句を「悲しぶ」とするが、「悲しむ」とする本もある。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、312頁(コマ166)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日