古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十八 雑歌下 1692番

月每に

菅原道真(すがわらのみちざね)

月ごとに流れて行くものと思っていた澄んだ鏡のような月は、西の浦にもとどまらないのだった。

作者
菅贈太政大臣(菅原道真)
  1. 1月つき月つきつき詞書
  2. 2月つき月つきつき每ごと每ごとごとににに初句
  3. 3流なが流ながながるとるとると思おも思おもおもひしひしいし二句
  4. 4增鏡ますかがみ增鏡ますかがみますかがみ三句
  5. 5西にし西にしにしののの浦うら浦うらうらにもにもにも四句
  6. 6とまらざりけりとまらざりけりとまらざりけり結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕「月」を題に。

月ごとに流れて行くものと思っていた澄んだ鏡のような月は、西の浦にもとどまらないのだった。

意訳

毎月めぐって西へ流れて行くと思っていた鏡のような月は、西の浦にも留まらずにまた東へ帰っていく。西の果てに流された私だけが帰れない。

語釈・文法注

ますかがみ
よく澄んだ鏡。ここでは月のたとえ。
西の浦
西の海辺。大宰府のある筑紫をいう。

和歌

作者
菅原道真(すがわらのみちざね) 845–903
学者・政治家。宇多・醍醐天皇に重用されて右大臣に至ったが、藤原時平らの讒言で大宰権帥に左遷され、配所で没した。死後に太政大臣を追贈され、のち天神として祀られた。
出典
『新古今和歌集』巻第十八・雑歌下・1692番
歌体
短歌
状況
詞書「月」(「月」を題に)。

修辞

字余り
第二句。

解説

道真の歌。西へ沈んでもまた昇る月と、西に流されて戻れないわが身を対比する。底本は第四句を「西の浦にも」とするが、「西の空にも」「西の海にも」とする本もある。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、311頁(コマ165)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日